引き戸の鍵を後付けするときのコツは?鍵の種類や簡単な取り付け方法を紹介

更新日:2022/12/29
引き戸の鍵を後付けするときのコツは?鍵の種類や簡単な取り付け方法を紹介

この記事でわかること

引き戸に後付けできる鍵の種類、DIYの方法、無理をせずに鍵屋に依頼するした方が良い場合などについて解説しています。

室内の引き戸には鍵が無いのが普通です。しかし「在宅ワークに集中したい」「子どもがプライバシーを気にしている」などの理由で、引き戸に鍵を付けたいと考えている方も多いでしょう。鍵に関しては専門業者に任せるのが最も確実ですが、コツを知ればDIYで対応できる場合もあります。

そこで今回は、引き戸に後付けできる鍵の種類と、取り付けのコツを解説します。また、取り付けの懸念点も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

引き戸とはそもそもどのような扉?

引き戸とは、床に設置したレールや溝に沿って扉を左右にスライドさせて開閉する扉のことです。引き戸には、次のように大きく分けて4つの種類があります。

片引き戸

小さな物件や古い戸建て、また和様式の戸建てには、「片引き戸」が使われていることが多く、1枚の扉をスライドさせて扉を開閉します。

引き分け戸

「引き分け戸」は2枚の扉をスライドさせます。大きな開口幅が望めますので、人や物の出入りが多い場所や、複数の部屋をつなげて使う場合に便利です。

引き込み戸

「引き込み戸」とは、壁の中に戸袋と呼ばれる収納スペースを持ち、その中に扉を引き込むタイプの扉のことです。雨戸が引き込み戸の代表的な例といえるでしょう。見た目がすっきりするメリットがありますが、戸袋の中が掃除しにくいデメリットもあります。室内では、引き戸は間仕切り戸として用いられることが多く、「ふすまや障子」が代表です。

引き違い戸

「引き違い戸」とは、玄関に多く使用されている引き戸のことです。二対のレールや溝に沿わせて、2枚の扉をすれ違う形でスライドさせるタイプをいい、小さな物件であれば片引き戸であることもあります。扉を収納するスペースが必要なく、左右のどちらからでも出入りができるのがメリットです。

また、特殊なタイプの引き戸として「上吊り式」があります。これは天井や壁の上側にレールを設置して、扉を吊るした形で左右にスライドさせるタイプです。床にレールや溝を設置する必要がなくバリアフリーに向いているため、病院や介護施設などでよく採用されています。

次は引き戸のメリットとデメリットを紹介します。

引き戸のメリット

  • 開き戸に比べて省スペースで設置ができる
  • しっかりと施錠する必要がなく、人の出入りの多いリビングやダイニングで利用しやすい
  • バリアフリーに有効で、車いすでもアクセスしやすい利便性がある
  • 省スペースの観点から、トイレでの利用も多い

引き戸のデメリット

  • 引き戸よりも気密性が低い
  • レールや溝にゴミやホコリが溜まりやすい
  • 室内に設置するものには鍵が付いていないことが多い
  • 設置費用が開き戸タイプよりも高額になりがち

気密性に関しては、壁と扉との接触面に補助的に部材を設置するなどの工夫で解決可能です。また、上吊り式にすることで、ゴミやホコリの問題も解決できます。設置費用に関しては、メリットとデメリットを考えたうえで、どうするかを考えるのが得策でしょう。

引き戸に後付けできる鍵の種類

引き戸に後付けできる鍵の種類

開き戸タイプの扉には、さまざまな種類の鍵を後付けすることが可能です。しかし、引き戸タイプの扉には、取り付けられる鍵の種類が限られており、どれでも取り付けられるわけではありません。ここでは、引き戸に後付けできる最適な鍵の種類を解説していきます。

戸先錠

戸先錠とは、引き戸と戸枠が接する箇所に取り付ける鍵のことです。鍵は、戸先と呼ばれる引き戸の取っ手のある部分に取り付けます。鍵をかける際にL字型の閂が飛び出し、戸枠に設置された錠受けにはまり込むことで引き戸が固定される仕組みです。玄関・室内のどちらの引き戸でも後付け可能であり、「シリンダータイプ」と「面付けタイプ」の2つがあります。

シリンダータイプとは、錠ケースと呼ばれる鍵の本体を扉に掘り込む必要のある戸先錠のことで、加工にはホールソーが必要となり、後付けの作業難度が非常に高くなります。

それに比べて面付けタイプは、錠ケースをそのまま扉に取り付けるだけで済み、ドライバー1本での作業が可能です。後付けの作業難度は低いのでDIYでも十分可能ですが、面付けタイプはスライドレバーで施錠・解錠するものが多いため、シリンダータイプよりも耐久性に不安が残ります。また、錠ケースが飛び出して見えるために見栄えが気になる方もいるでしょう。

召し合わせ錠

2枚建錠、引違戸錠との表現をされることもある「召し合わせ錠」とは、引き戸の1種である「引き違い戸」に用いられる鍵のことで、「召し合わせ」と呼ばれる2枚の扉が重なる位置に後付けします。取り付けには扉の厚みが必要なため、市販されているほとんどの製品が玄関用であり、室内での使用は難しいでしょう。

とくに「万能召合錠」と呼ばれる製品は玄関専用です。また、後付けの際には扉の厚さに合わせた切り欠きの調整や戸車の調整など複雑な作業が多いため、作業難度は非常に高くなります。DIYするのではなく、鍵屋に依頼するのが無難でしょう。

補助錠

補助錠とは従来、主錠に対して追加で取り付けることが前提になっている錠前を指します。ドライバーさえ必要としない粘着テープタイプの製品さえあります。以上からわかるように、補助錠はあくまで主錠を補佐するのを役割として後付けされます。主錠よりも防犯性が劣るため、補助錠だけで使われることはほとんどありません。

一方、玄関の補助錠に求められる性能は主錠と同等か主錠以上であることが多く、設置位置の関係などで面付け箱錠を補助錠にしていたり、ユーザーによっては電子錠やキーレスキーを補助錠にしていたりすることもあります。

室内向けの補助錠は、ドライバーだけでつけられるような簡易的な鍵が多いため、後付けするにしてもあまり苦労せずに取付けが可能です。しかし、プライバシーを守る程度であれば十分ですが、設置が楽である反面、強度には不安が残ります。

補助錠の効果を高めるために、扉の内外両側に鍵を設置する方法があります。これは老人の徘徊や子どもやペットの不用意な外出の防止に大変有効です。ただし、その分費用は高くなるので注意しましょう。取り付けネジを目立たないようにしたい場合には、「錠付スライドラッチ」と呼ばれる補助錠を使うのがよいでしょう。このように、補助錠には用途に合わせてたくさんの種類があります。

電子錠

電子錠とは、電力を使用して施錠・解錠を行う鍵をいいます。そのため電子錠の使用には電池(バッテリー)などの電力が不可欠です。タイプには「カードキー」「暗証番号」「指紋認証」「スマートフォンアプリ」「リモコンキー」などさまざまなものがあります。防犯性が高く、自動施錠なども使えるタイプもあるため、機密管理が必要な施設への後付けが有効でしょう。

また、鍵を使用する人が多い場合にも、合鍵を作る必要がないのでたいへん便利です。もともとは開き戸向けの鍵だったにもかかわらず、引き戸用の製品も多くリリースされるようになり、利用する人も増えています。

ただし電子錠の後付けには、取り付けるスペースの確保などの専門知識が必要なことが多いため、DIYには難度が高すぎます。特に引き戸は凸凹があったりガラスがはめ込まれたりしていて、電子錠の設置スペースが確保できない場合があります。設置の際は業者に依頼して実際に現場を見てもらい、見積もりを作成してもらうようにしましょう。

電子錠は、一般的な鍵よりも値段が高いことや、電池が切れたり停電になったりすると使えなくなるなどのデメリットがあります。また、引き戸の鍵にはサムターンがついていないことが多いため、スマホで施錠・解錠が可能なスマートロックは使えません。それでもスマートロックにしたい場合は鍵屋に相談するのが最も良い方法ですが、EPICの電子錠を使う選択肢もあります。

メカニカル・キーレスキー

キーレックス

メカニカル・キーレスキーとは、暗証番号を入力する物理的ボタンがついた、機械式のキーレスキーのことです。キーレス化したいが、電子錠のようなものは扱えるか自信がない、という場合に便利です。電力が不要なため電池切れや停電を気にすることがないことや、電子部品を使用していないため耐候性が強くて屋外の引き戸の後付けにも適しています。メーカーによっては、部屋の扉の内外両側に使用可能な製品も出しているため、高齢者の徘徊防止にも利用されています。

キーレックスでは、特に引き戸など框が細い扉用として、ボディが細長いタイプを用意しています。扉の内外両側に取り付けることができるため、老人などの徘徊防止策としての使用に大変有効です。同類商品としては、タイコーのメカニカル・キーレスキーがあります。

ただ、扉の構造によっては取り付けが難しいものもあるため、メーカー側もプロによる施工を推奨しています。また、メカニカル・キーレスキーは既存の鍵に取り付ける仕様です。既存の鍵がメカニカル・キーレスキーに対応しているかは、鍵屋に問い合わせるのが最も良い方法でしょう。

面付本締錠など

面付本締錠

ドアにビスのみで固定可能な鍵のことです。掘り込み用の穴は必要ありません。

面付本締錠とは、また、本締錠とは補助錠として使われることの多い、デッドボルトのみを備えている鍵をいいます。ただし、鍵穴用の加工は必要ですので注意してください。ふすまや框は強度に問題があるため、取り付けられる鍵は多くありません。悩んだ場合は鍵屋に相談するのが最も良い方法です。ふすまを開き戸用の本締錠で固定するなど、さまざまな方法を応用して悩みを解決してくれます。

ふすまや障子の引き戸が4枚以上ある場合、隣り合う引き戸同士を固定してもそのまま一緒にスライドしてしまい、鍵の役目を果たしません。その場合にはオートラッチなどのアイテムを利用して、ふすまや障子の動きを制限する方法もあります。また、框の狭い障子にもこの考え方は有効です。障子の場合には、小さな打掛錠を使うのがよいでしょう。

引き戸の鍵をDIYで後付けする際に準備しておくもの

引き戸の鍵をDIYで後付けする際には、プラスドライバー1本あると対応できます。
他にも、あったほうが作業がスムーズになるものを紹介していきます。

プラスドライバーは、引き戸に鍵を後付けするには必須の道具です。ネジを締めたり緩めたりできなければ、作業はまったく進みません。そして、ネジ山を潰さないように、必ずネジのサイズに合ったドライバーを使いましょう。ネジ山を潰してしまうと、それ以降の作業が進められなくなるなど、支障をきたします。

ネジやビスは小さいため、やもすると紛失してしまいがちなのです。滑りにくくて色の濃い布の上や、100円ショップなどで購入できる小さな箱にネジやビスを置くことで不用意な紛失を防ぎ、必要なネジやビスを探す手間も省くことができるなど、作業時間の短縮にもとても有効なのです。既存の鍵が古い場合には、ネジが錆びついている可能性も高いでしょう。その場合にはネジ緩め用の潤滑剤が非常に役立ちます。

また、後付け作業の効率化のためには、電動ドライバーや電動ドリルなどの電動工具を準備しておくのも非常に有効です。電動ドライバーを使用することで、ネジ山を潰す可能性を下げることもできます。ただし、ネジに合ったドライバーを使うことは忘れないようにしましょう。

DIYでおすすめの引き戸の鍵の取り付け方法

鍵を後付けするための穴を掘り込む必要のあるタイプの場合は、作業の難易度が非常に高くなります。理由は、穴の位置が少しでもずれた場合、修復に多大な手間と時間が必要になるためです。そもそも賃貸住宅の場合は、勝手に引き戸に穴を開けるとトラブルに繋がります。そのため、DIYによほどの自信がある場合を除いては、穴あけ不要な補助錠の取り付けがおすすめです。

穴あけ不要な補助錠の後付けには、「ネジやビス、粘着テープで取り付けるために失敗のリスクが少ない」「賃貸住宅でもトラブルになる可能性が低い」などの利点があります。

粘着テープで取り付けるタイプは加工やネジ留めが不要なため、賃貸住宅でも取り付けがしやすいのです。ただし、剥がす際に扉の板を損傷したり、剥がしたあとにテープの接着剤が残ったりすることも考慮する必要があります。

穴あけ不要で後付けできる引き戸専用の補助錠はあまり見かけないため、窓用の補助錠での代用などを考える必要があります。しかし窓用はアルミ製のサッシに固定することが前提になっているので、木製の引き戸などには不向きかもしれません。

引き戸の鍵を後付けするときの懸念点

では最後に、以下の2点について引き戸の鍵を後付けする際に懸念すべき点を紹介しておきます。

ふすまや障子に引き戸の鍵を後付けする場合

ふすまや障子は、そもそも厚みもあまりなく、耐久性も十分ではありません。そのため扉に錠ケースを掘り込む「戸先錠」や、扉に厚みが必要な「召し合わせ錠」などは使えません。

ふすまや障子に引き戸の鍵を後付けするには、「あおり止め」や「サッシ用補助錠」、または「オートラッチ」などを使って、簡易的な補助錠での対応がおすすめです。

窓用の引き戸の鍵を代用する場合

窓用の引き戸の鍵の場合、もともとアルミへの接着を想定している粘着テープを使用しています。木製の扉への接着には、粘着性能を十分に発揮できない可能性があるので注意が必要です。

テープは紫外線の影響などで自然に劣化していくため、定期的な張替えも必要となります。また、場合によっては接着面の跡が取れなくなる場合もあり得ます。賃貸住宅の場合には修繕費が必要になることもあるため、十分に注意してください。

引き戸の鍵を後付けするなら鍵屋キーホースへ

部屋の引き戸にDIYで鍵を後付けするのは不可能ではありません。しかし、穴をあけるタイプの場合、失敗すると引き戸自体の交換が必要になる場合もあり得ます。粘着テープなどを使う補助錠ならまだリスクは低いですが、強度に不安が残りますし、メンテナンスも必要です。

鍵の設置について迷ったときには、ぜひ鍵屋キーホースへご相談ください。現場を拝見したうえで最適な商品と施工方法を提案し、迷いを払拭いたします。

お電話は0120-955-127

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