ディンプルキーはピッキングされない?構造や意外な弱点、おすすめの鍵を解説

更新日:2023/05/29
ディンプルキーはピッキングされない?構造や意外な弱点、おすすめの鍵を解説

この記事でわかること

  • ディンプルキーがピッキングに強い理由
  • ディンプルキーの仕組み
  • ディンプルキーのメリット・デメリット
  • ピッキングされにくいディンプルキー

家の防犯性を高めるために、ピッキングされにくい鍵に変えたいと考えていますか?

ディンプルキーはピッキングに強いといわれており、防犯対策として導入を考えている人は多いです。

しかし、本当にディンプルキーはピッキングに強いのでしょうか?

また、ピッキングに強いからといって、本当に防犯性はバッチリなのでしょうか?

この記事では、ディンプルキーがピッキングに強いといわれる理由や、そのメリット・デメリットやおすすめのディンプルキーなどについて詳しく解説します。

ディンプルキーへの交換を検討している方は、交換前にぜひ参考に読んでみてください。

ディンプルキーはピッキングで解錠できる?

ディンプルキー

結論からいうと、ディンプルキーでもピッキングによる解錠は可能です。

ただし、非常に高い技術と時間が必要になります。

多くのディンプルキーはその複雑な構造のため、ピッキングによる不正解錠に対して10分以上耐える性能を持っています。

(財)都市防犯研究センターの資料によると、空き巣は侵入に5分以上かかると約7割があきらめるといわれているため、ディンプルキーは高い防犯性があるといえます。

※出典:住まいる防犯110番 警察における侵入犯罪予防対策 

しかし、逆にいえば時間をかければピッキングでも開けられてしまう可能性がある、ということです。

また、ピッキングでなくても鍵を破壊されたり、不正に合鍵を作られてしまったら家に侵入されてしまう可能性があります。

合鍵はオリジナルキーに刻印されている鍵番号を知られてしまうと誰でも作れてしまうのです(登録制のものは除く)。

ディンプルキーだから絶対安心ということはなく、その他の侵入対策も二重、三重に施しておくことが重要です。

なお、ディンプルキーにもさまざまな種類があり、自転車の鍵やシャッターなどに使われている簡易的な構造のディンプルキーはピッキングや鍵破壊で比較的あっさりと開けられる可能性があるため、できれば補助錠を追加するようにしましょう。

高い防犯性を表す「CPマーク」とは?

CPマーク

官民合同会議では、「空き巣による侵入に5分以上耐えうるかどうか」を防犯性能の基準にしています。

CPマークとは

防犯性能試験を実施し、代表的な侵入方法に対して5分以上耐えうるかどうかのテストに合格した建物部品に添付されるマークのことです。

CPマークはカタログなどに記載することができます。

このマークを使うことで、防犯性能の高い建物部品の存在を知ってもらい、多くの住宅に普及させるのが目標です。

オープナー

CPマークを取得しているシリンダーに対しては、プロの鍵屋であってもピッキングで解錠を試みるということはなく(※鍵屋の場合はお客様がどれだけ急いでいるかによって開錠方法を変更する場合があります。例:安否確認時の開錠。破壊が選ばれることも多い)、ドアスコープを取り外し、オープナーと呼ばれる工具を用いて解錠する「オープナー解錠」が多いです。

参考用:防犯性能の高い建物部品目録
参考用:錠・シリンダー・サムターンの防犯に関する説明

さまざまなメーカーのディンプルキーがあり、どれが良いのかわからないという場合には「CPマークがついているか」というのを1つの基準に考えてみると良いでしょう。

ピッキングに強いディンプルキーの仕組み

ディンプルキーのくぼみ

ディンプルキーは表面にボコボコとくぼみがあるのが特徴です。

一般的なピンシリンダーは子鍵がギザギザとした形状をしており、子鍵を差し込むとシリンダー内で6〜7本のピンがギザギザの形に合わせて押し上げられ、解錠する仕組みになっています。

鍵の内部構造

出典:GOAL WEB版総合カタログ

ディンプルキーはこのピン配列が一方向だけでなく、上下左右、さらには斜め方向にも設けられており、子鍵を差し込むとそれらのピンが深さの違うくぼみに入ります。すべてのピンの高さがそろって初めて解錠できる仕組みのため、ピッキングで解錠するのは非常に困難です。

ディンプルキーのピンの数は全方向合わせると16本以上、多いもので26本というものもあります。

ギザギザの鍵ではシリンダー内部のピン位置の組み合わせ数(理論鍵違い数)が多くても1億通り程度なのに対し、ディンプルキーは多いもので1,000兆通り以上と桁違いの複雑さが分かります。

理論鍵違い数とは

シリンダー内部のピン位置や向きの組み合わせによってつくりだせる子鍵の数です。
例えば理論鍵違い数が10通りの鍵があるとすれば、10人の人が内部構造の違うシリンダーと子鍵のセットを持つことができる、ということです。

ピッキングは理論鍵違い数が多いほど時間がかかるため、ディンプルキーの解錠が容易ではないことがわかります。

しかし、バンピングと呼ばれる不正解錠に対しては弱いという弱点もあります。

バンプキー
バンピングとは

「バンプキー」と呼ばれる特殊なカギを鍵穴に差し込んで、叩いて衝撃を加えることで鍵を開けるという方法です。

最新のディンプルキーではこのバンピングへの対策が講じられているものが多いので、ディンプルキーへ交換を検討する際はバンピング対策がされているかもチェックするようにしましょう。

ディンプルキーのメリットは4つ

防犯性の高いディンプルキーですが、メリットだけでなく、デメリットもあることを知っておかなくてはなりません。

ここからは、ディンプルキーのメリット・デメリットを紹介します。

まずはメリットから見ていきましょう。

ピッキングされにくい

ディンプルキーの仕組みで解説したとおり、ディンプルキーはかなり複雑な構造をしており、ピッキングで解錠するのは困難です。

プロでも解錠にはかなりの時間がかかるため、スピーディーに解錠して侵入したいと考えている空き巣などにとっては非常にやっかいな鍵といえるでしょう。

合鍵の作成が難しい

キーマシーン

ディンプルキーはその複雑な構造から、合鍵を作成するためには専用の機械や高度な技術、多くの時間が必要になるため、第三者に不正に合鍵を作成されるリスクが低くなります。

また、万が一鍵を紛失して悪意ある第三者に拾われても、すぐに合鍵を作ることができないため、シリンダーを交換するという対策がとれます。

ただし、純正キーには鍵番号が刻印されており、この番号が知られると第三者でもネットで合鍵を注文できる可能性があります。

こうしたリスクに備え、登録制のシリンダーを使用することで、不正に合鍵が作られるリスクを低くできます。

オーナーカード

登録制シリンダーは鍵番号だけでは発注できず、鍵の所有者として登録情報が必要なシステムになっています。

登録時に必要な情報はメーカーによって異なりますが、住所氏名などの所有者情報、鍵番号やシリアル番号、オーナーカードに書いてある番号、4桁の暗証番号などです。

日本国内では美和ロック、ALPHA、ドルマカバ、マルティロックなどがこのシステムを採用しています。

ドリルによる破壊に強い

ドリリング

不正解錠の手口の一つにドリリングがあります。ドリリングとは、専用のドリルを使用して鍵穴に穴を開け、鍵のピンを破壊することで解錠する方法です。

この手口は一般的な鍵であれば容易に解錠できますが、ディンプルキーは超硬金属や焼入れを施したスチールなどの耐ドリリング構造を採用しているため、ドリリングに対して高い防犯性を持っています。

表裏がないため鍵の抜き差しがしやすい

通常のギザギザ鍵は上下や向きによって差し込み方向が決まっており、向きを間違えると鍵穴に差し込めません。

しかし、ディンプルキーはリバーシブル構造を採用しているため、表裏関係なく鍵を差し込めます。

そのため、暗い場所や手元が見えにくい状況でも子鍵の向きを気にすることなく容易に子鍵を抜き差しでき、使い勝手が良好です。

ディンプルキーのデメリットは3つ

続いて、ディンプルキーのデメリットを解説します。

価格が高い

ディンプルキーのデメリットの一つに、価格が高いという点が挙げられます。

ディンプルシリンダーの製造には専門の機械が必要なうえ、複雑な形状なため非常に高い技術が必要だからです。

合鍵作成に時間とお金がかかる

時間とお金

一般の合鍵屋やホームセンターなどでは対応できない可能性が高く、メーカーに純正キーを発注するとなると、手元に合鍵が届くまでに3〜4週間程度はかかってしまいます。

特に登録制のシリンダーは鍵屋でも複製ができないので、メーカーに発注しなくてはならず、子鍵を紛失しやすい人にはあまりオススメできません。

鍵を紛失したら解錠が大変

鍵を失くした

ディンプルキーはピッキングが困難であるため、鍵を紛失してしまうと解錠が非常に困難です。

最悪の場合、鍵を破壊して開けなくてはならないこともあります。

そうなるとシリンダーごと交換が必要になり、費用も高額になります。そのため、鍵の紛失には十分に注意が必要です。

お電話は0120-955-127

ピッキングされにくいディンプルキーの種類

ディンプルキーと一口にいってもさまざまなメーカーから出ており、防犯性能や特徴もそれぞれ異なります。

ここでは、特にピッキングされにくいディンプルキーを紹介していきます。

ロイヤルガーディアン

ロイヤルガーディアンディンプルキー

出典:ロイヤル★ガーディアンEX カタログ

ロイヤルガーディアンのディンプルキーは、特許取得済みの「ピッキング完全阻止機構」「バンピング完全阻止機構」を内蔵しており、ピッキングだけでなく、バンピングやカム送り、ドリル破壊などにも強い鍵です。

万一不正解錠が試みられても内筒の回転をロックすることで解錠を完全に阻止します。時間をかけてもピッキングで解錠することはできません。

GRAND V(グランブイ)

ゴールグランブイ

出典:GOAL WEB総合カタログ

GOAL社のGRAND V(グランブイ)は、鍵違い数が1,000兆2,800億通りと圧倒的に多く、アンチピッキングピンを採用しているためピッキングによる解錠は非常に困難です。

また、超硬金属製のガードピンが入っているため、ドリル破壊に対しても耐久性を持ちます。「セキュリティIDタグシステム」により不正キー複製も防止します。

PRシリンダー

美和ロックPRシリンダー

出典:美和ロック WEBカタログ

PRシリンダーは美和ロックのディンプルキーで、アンチピッキングタンブラーという特殊な機構を持っています。

4段変化のメインタンブラーと2段変化のサイドタンブラーの2WAY構造により、理論鍵違い数は1,000億通り。ピッキングによる解錠は困難です。

耐久性能にも優れており、高硬度部品を使用することでドリル攻撃にも高い耐性を誇ります。

トライデントRシリンダー

堀商店ディンプルキー

出典:堀商店 製品カタログ

 堀商店(HORI)のトライデントRシリンダーは、鍵穴に3列のピンを配置することでピン数を増やし、約1,400万通りの鍵違いを実現。ピン数が多く鍵穴が丸い形状をしているため、ピッキングによる解錠は困難です。

非登録制のシリンダーですが、特殊な形状からブランクキーも存在せず、不正な合鍵作成もほぼ不可能というセキュリティ性能を持ちます。

カバスタープラス

カバスターディンプルキー

出典:ドルマカバ社 製品カタログ

カバスタープラスはスイスに本社を置くドルマカバ社が製造するディンプルキーです。

理論鍵違い数は2兆2千億通りで、耐ピッキング性能、耐鍵穴壊し性能は10分以上と、強力な防犯性を誇ります。

特殊なコーティングによってシリンダーの腐食を防止することで耐久性も抜群です。

登録制のものの中でもかなり厳格に運用されているため、合鍵作成には鍵ナンバーやシリアルナンバー、暗証番号のトリプル認証が必要であり、第三者による不正登録や不正コピーを困難にする仕組みが備わっています。

ディンプルキーへの鍵交換を業者へ依頼した際の費用相場

鍵屋に鍵交換を依頼した場合の費用相場は下記のとおりです。

一般的な刻みキー16,500円~27,500円
ディンプルキー27,500円~55,000円

賃貸住宅では勝手に鍵交換できないので、必ず事前に管理会社や大家さんに確認して許可を得るようにしましょう。

ピッキング以外の侵入手口

「玄関の鍵をディンプルキーにしたから安心」と油断するのは危険です。

住宅への不法侵入の手口はさまざまで、実はピッキングによる侵入の割合自体は一時期ほど高くありません。

警視庁の「住まいる防犯110番」によると、侵入経路としては玄関だけでなく「窓から」という割合がかなり高いことがわかります。

戸建て共同住宅(3階建以下)共同住宅(4階建以上)
53.5%40.7%24.5%
表出入口21.3%47.3%60.7%
非常口0.1%0.1%0.1%

出典:警察庁住まいる防犯110番_手口で見る侵入犯罪の驚異はこちら

また、侵入の手口については「無締まり」、つまりそもそも鍵を閉めていない、閉め忘れているという状況での侵入が最も多くなっています。

鍵の防犯性を高めるだけでなく、その他の防犯対策も合わせて行うことが重要といえます。

1位2位3位
一戸建住宅無締りガラス破り合かぎ
共同住宅(3階建以下)無締りガラス破り合かぎ
共同住宅(4階建以上)無締り合かぎガラス破り

出典:警察庁住まいる防犯110番_手口で見る侵入犯罪の驚異はこちら

住宅への侵入手口には以下のようなものがあります。

ピッキング

ピッキングは、鍵穴に特殊な工具を挿し込んで操作して解錠する方法です。

シンプルな構造なものであれば数分で解錠されてしまうこともあります。

無締り

無締りは、その名の通りそもそも鍵をかけていないことで侵入されてしまう手口です。


無締りによる侵入は戸建て、共同住宅ともに割合が最も多く、日ごろから鍵を確実に締める習慣を身に着けておくことが大切です。

ガラス破り

ガラス破りは、ガラスを破壊して窓の鍵を開け、侵入する手口です。

窓を破壊する手法には「こじ破り」「焼き破り」などがあり、どちらも破壊時に大きな音も出ず、短時間で解錠されてしまいます。

合鍵

不正に合鍵を作成して侵入する手口です。

純正キーに刻印されている鍵番号を悪意ある第三者に知られたり、紛失した鍵を拾われて作成されるケースがあります。

サムターン回し

サムターン

サムターン回しは、外側から特殊な工具を使って室内側のサムターン(鍵のつまみ)を回し、解錠する手口です。

扉のドアスコープや郵便受け、またはドリルで扉に穴を空けて、そこから特殊な工具を挿し込みサムターンを回すというケースがあります。

カム送り解錠

カム送り解錠は、シリンダーを浮かして、その隙間から針金などを挿入し、鍵の内部に働きかけて解錠する手口で、バイパス解錠ともいわれます。

ディンプルキーへの交換はプロの鍵屋へ相談

ディンプルキーは複雑な構造でピッキングが難しく、家の鍵をディンプルキーにすることで防犯性を高められます。

ただし、ディンプルキーにもさまざまな種類があり、交換すれば必ず防犯性が完璧になるというものでもありません。

防犯性を高めるために鍵を交換したいと考えている人は、まずは鍵のプロフェッショナルである鍵屋に相談してみてはいかがでしょうか。

「カギのキーホース」はあらゆる鍵のトラブルに年中無休で対応する鍵の専門業者。現在使用している鍵やドアの形状などを調べ、あなたの家に最適な鍵を提案します。

相談や見積もりは完全無料なので、不明点や疑問などがあればお気軽にキーホースまでご連絡ください。

お電話は0120-955-127

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