玄関の鍵が固くて回らない!原因と対処方法を解説
この記事でわかること
- 玄関の鍵が固くなる原因
- 玄関の鍵が固いときにやってはいけないこと
- 玄関の鍵が固いときの正しい対処法
「玄関の鍵が固くて回らない」
「鍵が回しにくくてイライラする」
とお困りではありませんか?
まだ大丈夫、とこのようなトラブルを放置していると、ある日突然鍵が故障してしまい、家に入れない事態を招くかもしれません。
そうならないためにも、普段からシリンダーをメンテナンスしておくことが大切です。本記事では玄関の鍵が固くて回しにくいときの原因、自力でできる対処法、そしてやってはいけないことを解説します。
なお、本記事で紹介した対処法を試しても解決しない場合は、鍵屋に相談することをおすすめします。
玄関ドアの鍵が固くなる原因とは?
「鍵は刺さるけど固くて回しにくい」という状態を放置していると、次第に症状が悪化し、ある日突然、閉め出されてしまうおそれがあります。そのため、鍵の不具合を確認したらなるべく早めの対処を行うことが大切です。
また、鍵を修理する際は、不具合の原因を正確に見極めて適切な処置をしないと、かえって事態を悪化させてしまうこともあります。
ここからは鍵が固く回しにくいときに活用できる、原因特定の方法を紹介します。
鍵トラブルの原因特定方法
この特定方法は、扉が開いているということが前提になります。必ずドアを開けた状態で行って下さい。
施錠された状態で鍵が回らない場合は鍵屋を呼んで解錠することが先決になりますが、鍵が固いという状態であれば扉は開くことができると思いますので、ぜひ試してみて下さい。
①室内外から鍵が正常に回るか確認する
まず外出から帰宅したときのように鍵穴に子鍵をさして回し、鍵の動きを確認します。
次にサムターン操作でも正常に鍵がかかるか(閂が出入りするか)を確認します。
どちらの場合もちゃんと鍵が回るようであればトラブルの原因はドアの建付けやストライクの位置ズレでしょう。
どちらも固かった場合は、錠ケースというドアに掘り込まれている部品が故障している可能性があります。錠ケース内が汚れている、錠ケース内部品が経年劣化で摩耗しているといったことが考えられます。
そして子鍵を用いて回したときだけ固かった場合は、シリンダー本体が原因である可能性が高いため、次のテストに移行します。
②スペアキーを使ってみる
いつも使用している子鍵で回したときだけ固かった場合は、オリジナルキーの形に近い、新しいスペアキーかオリジナルキーが残っている場合はオリジナルキーを使用してみて下さい。
スペアキーのときは問題なく鍵がかかるということであれば、子鍵の変形や汚れによって鍵が固くなっているのだと考えられます。
逆に、スペアキーを使用しても鍵が回しにくい場合は、シリンダーが原因だと考えられます。シリンダーにたまった汚れ、潤滑剤不足、取付けネジの緩みなど、シリンダーで起こるトラブルはいくつかありますが、使用年数が10年を超えているようであれば、経年による部品の摩耗も考慮しなくてはなりません。
このテストで鍵が回しにくい原因が特定できたら、とるべき対処方法を見ていきましょう。原因箇所によってできることがいくつかあるものの、多くは洗浄や掃除がメインです。
自宅ですぐに取り掛かることができるものもありますので、トライしてみて下さい。
ここからは、鍵が固くて回しにくくなる原因について詳しく説明します。
鍵穴内の埃や塵
意外と見過ごされがちなことですが、屋外や道路に面している玄関の鍵は、風で飛んできた砂や塵、ホコリなどのゴミが鍵穴に入りやすく、汚れが蓄積しやすいです。
また、鍵穴、いわゆるシリンダー内は精巧に作られているため精密機械と変わりありません。特に、シリンダー内のピンやディスクは非常に狭い空間に緻密に配置されていますので、軽度のつまりや汚れがあっても動きが悪くなってしまうことがあります。
子鍵の汚れ
子鍵を服のポケットやカバンに入れて持ち歩いている場合、服やカバンの繊維やホコリが鍵の溝に付着して、鍵が回りづらくなる原因になっている可能性もあります。
特に、鍵の表面や側面に丸いくぼみがいくつもあるディンプルキーは、くぼみにホコリや汚れが溜まりやすいので定期的に掃除することが大切です。
鍵穴の潤滑剤不足
もともとシリンダー内には潤滑剤が塗布されていますが、この潤滑剤は長年の使用とともに減っていきます。潤滑剤が枯渇すると鍵の動きが悪くなり、鍵をスムーズに回しづらくなります。
鍵穴が屋外に面している玄関鍵は、室内と比べて潤滑剤が減るペースが早いので定期的にスプレーで注入する必要があります。また、潤滑剤は必ず「鍵穴専用」のものを使いましょう。
子鍵の変形
子鍵の削れや変形、長期の使用でシリンダー内の部品が摩耗すると、鍵が固くて回りづらくなるなどの動作不良が発生します。
子鍵とシリンダーのどちらに不具合が発生しているかを見分けるには、スペアキーを使ってテストすると判断しやすいです。
スペアキーだとスムーズに鍵が回る場合は、普段使用している子鍵に異常があると思われます。シリンダー内部はステンレスなどの硬い材質でできていますが、子鍵は、銅を主体とした白銅、洋白といった少し柔らかい金属で作られています。子鍵が曲がったりギザギザの角が削れたり変形していないか、また、鍵の溝やくぼみに汚れが溜まっていないかなどを見てみましょう。
スペアキーを使っても鍵が固くて回しづらい場合は、シリンダーに不具合が発生している可能性が高いです。シリンダー内を掃除して潤滑剤を塗布しても症状が改善しない場合は、シリンダーあるいはシリンダー内部品の故障も考えられます。
シリンダーの経年劣化・寿命・緩み
鍵が固くて回しづらいという症状は、シリンダーが劣化しているサインかもしれません。一般的に鍵の寿命は10年程と言われていますが、これは「10年間は問題なく使用できる」ということではありません。
玄関鍵を設置して、ある程度の年数が経つと、毎日何度も鍵を抜き差ししているため、パーツが摩耗したり、金属疲労で部品が壊れたりします。また、古い鍵を使用しているとシリンダーが緩むことがあります。この場合、サムターン側のネジを締めると回るようになる可能性があります。
ストライク(錠受け)のずれが原因
ストライクは、鍵をかけた時に錠ケースから突き出た閂(かんぬき)の役割を果たすデッドボルトや、扉を枠に仮止めするラッチボルトを収める枠側のプレートのことをいい、受け座とも呼ばれます。
長年の使用や経年劣化により緩みやズレが発生してしまうと、ストライクの位置がずれてデッドボルトと干渉してしまうことがあります。
ドアを閉めた状態では鍵は固くて回りづらいが、開けた状態なら外側からも内側からも問題なく作動する場合は、ストライクのずれが原因によるものだと考えられます。
鍵穴の凍結
地域によっては雪風の強い日や寒波がきた時にシリンダー内や錠ケース内で凍結が起こります。そんなときは解氷剤を使うことをおすすめします。仮にシリンダー内が凍結してしまった場合は、ノズルを鍵穴に差し込み、十分に吹き込んでから鍵が回るかどうか確認してください。問題なく回るようになれば、解氷剤が抜けて十分乾燥した頃に念のため、鍵穴専用の潤滑剤をスプレーで注入するとよいでしょう。
錠ケースが凍結してしまった場合は、ドライヤーなどでケースの金属部分を温めることで解かすことができます。しかし、外に締め出されてしまった場合はドライヤーを使うことができません。また、錠ケースが扉の中に埋め込まれた掘り込み錠タイプの場合はドライヤーで温めても効果がないかもしれません。そんなときは鍵屋に依頼するようにしましょう。
錠ケースの凍結は、ドアの隙間から錠前内部に浸水が起こったり、温度差によってドアの内部に湿気がたまって錠前に付着したりしたことなどが原因と考えられます。どちらも日中の気温が高い時に水が入り込むことが要因となるため、それを防ぐことが大切です。
また、鍵穴用の潤滑剤には凍結防止の役割もあるため、寒波がくる前にスプレーで注入するとよいでしょう。
玄関の鍵が固くて回りづらい時に絶対やってはいけないこと
鍵が固くて回りづらいときは、症状を改善しようと咄嗟の行動をしてしまいがちです。しかし、精密機械と同じである鍵穴内は大変デリケートであるため、間違えた対処方法をおこなうと、さらなるトラブルに発展するおそれもあります。
ここからは、鍵が固くて回りづらいときに絶対やってはいけないことについて紹介します。
無理やり子鍵を回す
玄関の鍵が固くて回りづらいとき、ついやってしまいがちですが、無理やり鍵を回してしまうと、子鍵が変形したり曲がってしまう可能性があります。また、無理な力を加えて子鍵が折れた場合、シリンダー内から折れた鍵が抜けなくなってしまうこともあります。
鍵穴の内部も傷ついてしまうので、無理な力を加えたり、無理やり子鍵を回すようなことは避けましょう。
鍵穴にヘアピンや爪楊枝を差し込む
シリンダー内部に汚れや小さな石が詰まっている場合、ヘアピンや針金、爪楊枝などを使って除去しようとする方がいますが、間違ってもシリンダー内に硬いものを入れてはいけません。
鍵穴内の部品やタンブラー類が傷つき、シリンダーが破損する恐れがあります。また、爪楊枝や針金がシリンダー内で折れてしまった場合は取り出す必要が生じたり、シリンダー交換が必要になるおそれもあります。
鍵穴に市販の油を使う
玄関鍵が固くて回りづらいとき、真っ先に潤滑油を鍵穴に注入することを思い付く方も多いかもしれません。しかし、自宅にある市販のサラダ油やオリーブオイルを注油しても問題は解決しません。
食用油は、鍵穴にとってホコリやゴミを鍵穴内部で余計に粘着させてしまいます。その結果、シリンダーは使い物にならなくなり、鍵の交換が必要になってしまうでしょう。
鍵穴専用ではない潤滑剤を使用する
鍵穴には必ず鍵穴専用の潤滑剤を使用してください。KURE5-56をはじめとする市販の金属用潤滑剤は、鍵にとっては大変不向きです。
このような潤滑剤を鍵穴に使用すると、シリンダー内のホコリやゴミを固めてしまい、かえって鍵穴の症状を悪化させたり、シリンダーの故障にも繋がります。
鍵穴内に水分がある状態で潤滑剤を使う
鍵穴専用の潤滑剤を使うときはあらかじめ、シリンダー内部をサラサラで乾燥した状態にしておく必要があります。
鍵専用潤滑剤はパウダー状の潤滑剤なので、食用油やKURE5-56などの潤滑剤と違い、速乾性でホコリやゴミが付着しにくくなっています。しかし、シリンダー内に水分が入っていると、パウダーが水分と混ざってダマになってしまい、シリンダーの動きが悪くなってしまいます。そのため雨天時などの使用は控えた方が良さそうです。
玄関の鍵が固くて回しにくいときの正しい対処法
鍵に不具合があるからといって真っ先に故障を疑うことは時期尚早です。シリンダーの内部は精密であるため、定期的にお手入れが必要です。しかし、そのようにシリンダーをメンテナンスをしている方は少ないかと思います。
鍵が固くて回しにくいと感じた時は、鍵のメンテナンス不足である可能性が高いです。まずは、鍵穴が汚れていたり、子鍵が劣化していないかなどを調べましょう。
ここからは、玄関の鍵が固くて回しにくいときの正しい対処法についてご紹介します。
鍵と鍵穴を掃除する
鍵穴や子鍵が汚れていると、シリンダーの動きを阻害し故障の原因にもなります。
鍵穴の掃除は家庭でできる簡単なメンテナンスで問題ありません。エアダスターを吹き付けてゴミを飛ばしたり、掃除機で鍵穴内の埃を吸い取るといった方法を試してみてください。
子鍵は、歯ブラシなどで汚れを取り除いた後に布で拭くといったメンテナンスを定期的におこなうと良いでしょう。
鍵穴専用の潤滑剤をさす
鍵が固くて回しづらいなどの不具合が出てきたときには、シリンダーの潤滑剤が減っている可能性も考えられます。鍵穴専用の潤滑剤を使うことで、鍵穴の動作がスムーズになるかもしれません。
鍵穴専用の潤滑剤はホームセンターやAmazonなどのネットショップで簡単に入手することができます。鍵穴専用の潤滑剤は速乾性で汚れがつきにくく、ドア以外にもロッカー、南京錠、スーツケース、金庫、車や自転車の鍵にも使用可能です。鍵穴は定期的にメンテナンスする必要があるので、手持ちにない場合は購入してみるといいでしょう。
潤滑剤は、エアダスターや掃除機で鍵穴を綺麗にしたあとに使用します。鍵穴に潤滑剤を少し注したあと、何度か子鍵を抜き差しして十分に潤滑剤を馴染ませることがポイントです。
鍵穴専用の潤滑剤が手元にない場合は、鉛筆の黒鉛を子鍵の溝に塗る方法があります。鉛筆の芯に含まれる黒鉛には、金属を滑りやすくさせる効果があります。
濃い色の鉛筆には多くの黒鉛が含まれているため、「B」または「2B」などの鉛筆がおすすめです。
ストライクのずれを調整する
ストライクの位置がずれていると、デッドボルトが干渉してしまい鍵がかかりにくくなります。ストライクを調整する手順は下記の通りです。
- ストライクを取り付けている上下のネジを少しだけ緩めます。この際、取付けネジを外してしまうと、戻せなくなってしまうので注意してください。
- ストライクの板を持ち、サムターンを回して、ストライクにきちんとデッドボルトが収まるか確認しながら鍵がかかるよう位置を調整します。
- 鍵を開け閉めして、しっかりと施錠できることを確認したら、ネジを締め直してストライクを固定します。
自力での作業が難しい場合は、鍵屋に相談して作業を依頼することをおすすめします。
こんな時は鍵屋へ連絡するのがおすすめ
ここからは、鍵屋へ連絡すべきケースをご紹介します。
鍵穴専用ではない潤滑剤・食用油を鍵穴に使用した場合
前述したとおり、食用油や鍵穴専用ではない潤滑剤をさした場合、ホコリや砂などのゴミが余計に付着してしまったり、それが固まって鍵が使い物にならなくなってしまう場合があります。
そうなってしまった場合、シリンダーの交換が必要になります。また、間違えてKURE5-56を吹いてしまったときはパーツクリーナーを使うという手段もありますが、錠ケースに汚れた液体が流入してグリースを溶かしてしまうおそれもあります。
そのため、パーツクリーナーによる洗浄は基本的にシリンダーの取り外しが必要です。KURE5-56などを使用して時間がそれほど経っていなければ、シリンダー洗浄で対応できるかもしれません。
しかし、シリンダー洗浄は慣れていない人がおこなった場合、小さな部品を紛失しがちなので、自信がない場合は手遅れになる前に鍵屋を呼びましょう。
対処法を試しても症状が改善しない場合
上記で紹介した対処法を試しても症状が改善しない、不具合の原因を特定できないという場合は、鍵屋へ依頼することをおすすめします。
シリンダーをメンテナンスしても鍵がスムーズに動かないのであれば、錠前のどこかが故障している可能性が考えられます。また、錠前の不具合を特定するには鍵をよく理解していることや専門知識が必要です。
鍵のプロである鍵屋へ依頼すれば、短い時間で原因を特定し、問題を解決してくれるでしょう。
自力での作業に自信がない場合
そもそも、自力での作業に自信がない方は無理をせず鍵屋にすべて任せた方が確実です。聞きかじった知識で間違った対処をしてしまうと、余計に症状を悪化させたり、鍵を壊してしまうおそれがあります。
そうなってしまうとシリンダーの交換が必要になったりして、時間も費用も余計に消費してしまいます。
鍵屋であれば土日でも営業していることが多く、最短でも20〜30分程度で駆けつけてくれるので急ぎの対応も可能です。
また、鍵が故障している場合や耐用年数による劣化などで交換が必要な場合でも、鍵屋であればさまざまな種類の鍵、錠前を在庫としてストックしているので、すぐに対応してくれます。
まとめ
ここまで、玄関の鍵が固くて回しづらいときの対処法についてご紹介しました。鍵が固くてスムーズに回らないときは、シリンダーの洗浄や調整などのメンテナンスをする対処方法があります。しかし、自力で作業をすることが難しそうなときは、無理をせず鍵屋に依頼することをおすすめします。
鍵の不具合を放置した場合、症状は次第に重症化していき、鍵が回らずドアが開かないという事態になってしまいます。鍵の不具合を感じたらお早めに鍵屋へご連絡ください。