店舗やテナントに最適な鍵はどれ?鍵交換のポイントと費用相場を解説

更新日:2023/06/19
店舗やテナントに最適な鍵はどれ?鍵交換のポイントと費用相場を解説

この記事でわかること

  • 店舗やテナントに使われている鍵
  • 使われている鍵の種類、特徴や防犯性
  • 電子錠とスマートロックの違い
  • シャッター・自動ドアの鍵交換
  • 鍵交換費用の相場

店舗やテナント、あるいは事務所などの「職場」となる場所の防犯性は妥協したくないところです。しかし鍵にはさまざまな種類があり、どの鍵を採用するかによって防犯性や費用も異なってきます。

本記事では、店舗やテナントにおすすめの鍵と鍵交換で知っておくべきポイント、費用相場について紹介していきます。

店舗やテナントで利用される鍵の種類

鍵の種類はバリエーションが豊富で、鍵によって防犯性や性能も異なります。ここでは、それぞれの鍵の特徴について紹介します。

シリンダー錠

シリンダー錠の内部をシリンダーと言います
シリンダー構造図・ドルマカバ商品カタログより
鍵穴の奥は筒(英語で「シリンダー」)になっています

シリンダー錠とは、出入口の施錠に使われる錠で、一般家庭から商業施設やオフィスビルなど、様々な物件で利用されています。

シリンダー錠は、子鍵が鍵穴内部に差し込まれ、ピンやディスクを動かして錠を開閉する仕組みになっていますが、この鍵穴の奥の筒状の機構を「シリンダー」と呼びます。取り付ける場所によってシリンダーのサイズに違いはありますが、子鍵を用いる錠前の殆どがシリンダー錠と言って良いかもしれません。

建物用のシリンダー錠で場所を選ばず幅広く普及しているのが美和ロックのU9シリンダーです。ピッキングに弱いということで廃番となったディスクシリンダーの後継種ですが、安価で扱いやすいハイセキュリティシリンダーとして多くの建物で使用されています。

住宅の玄関では、子鍵にいくつもの凹みがあるディンプル錠が普及してきましたが、多くの人が出入りする店舗や事務所などでは子鍵として「刻みキー」と呼ばれる、ギザギザの鍵足がついたものが大半を占めているかもしれません。

職場で使用している鍵は家のものとは違う、という方も多いのではないでしょうか。

建物用のシリンダー錠には第一に防犯性が求められるものの、店舗などでは家族より多い人数分の合鍵を作成しなくてはならない、といった事情も考慮しなくてはなりません。

そのような住宅用とはまた少し違う背景を鑑みた運用も可能になるのが、U9やピンシリンダー錠といったハイセキュリティシリンダーなのです。

後で詳しく説明しますが、住宅用のようにディンプル錠を採用するかどうかは、店舗の規模や取り扱う商品にもよります。刻みキーを用いているからといって、一概に防犯性能が低い、というわけではないのです。

メカニカルテンキー錠

キーレステンキー錠

メカニカルテンキー錠は機械式であるため、電気や電池などの動力を必要としないのがメリットです。

そのため、電池切れや停電時に鍵が開かないという心配もありません。また、雨にも強いため、屋外でも気兼ねなく設置することができます。

電子錠

暗証番号で使用する方も増えています

電子錠は、カード、生体認証、暗証番号などを使用して解錠する電池式のデジタルロックで、子鍵を差し込まずに施錠や解錠ができるのが大きなメリットです。

設置する際にシリンダーを取り除くことが多く、鍵穴がなくなるため、ピッキングされる心配がありません。

電池を使用するので電池切れのリスクはありますが、ほとんどの機種に電池残量のアラート機能や、乾電池を使用して非常時に作動できる機能が備わっています。

鍵の種類による防犯性の違い

一般的に店舗やテナントで利用されている鍵を紹介してきました。ここからは、防犯性の違いについて解説していきます。

古い錠前は防犯性能が低い

建物用の錠前は、種類によっては防犯性が低いものもあります。住宅の鍵では公団などで普及したディスクシリンダーやピンシリンダーが有名ですが、店舗やテナントの鍵としてはどういったものが考えられるか、見ていきましょう。

ディスクシリンダーのインテグラル錠
ディスクシリンダーのインテグラル錠。鍵穴が「く」の字
ピンシリンダー錠の鍵穴
ピンシリンダー錠も鍵穴の形が独特

2001年に廃番となった美和ロックのディスクシリンダーは国内に広く普及したシリンダー錠ですが、これら古いシリンダーはキー・イン・ノブと呼ばれるインテグラル錠や円筒錠にも採用されています。

インテグラル錠や円筒錠はノブの中にシリンダーがあるため、シリンダーとノブを個別に取り付ける必要がなく、コストパフォーマンスが良いということで多くの商用施設や倉庫でも見かけます。

ただ、利便性が高い反面、ノブがもぎ取りに弱いという構造的な欠点もあるため、住宅で主錠として使うことは殆どありません。

また、店舗の出入口が自動ドアであるところも多いと思われますが、自動ドアにも錠がついています。この自動ドア用の錠もシリンダー錠であることが多く、古いものですとやはりピンシリンダーやディスクシリンダーが多いでしょう。

しかし、もっと古いものになるとレバータンブラー錠という今では殆ど見かけることのない錠がついています。

アンティークなレバータンブラー錠
レバータンブラー錠の棒鍵
レバータンブラー錠の鍵穴
鍵穴から室内を覗くことができる鍵穴

レバータンブラー錠の子鍵は「棒鍵」と呼ばれるタイプで、最近ではアンティークの小物として見かけることがある鍵、と言えばわかりやすいでしょうか。

鍵穴は前方後円墳のような形をしていて、鍵穴から室内を覗くことができるという特徴があり、18世紀イギリスで生まれたとされていますが、ディスクシリンダーやピンシリンダーが普及するまでは住宅用の鍵でもありました。

その名残として、未だに古い自動ドアや倉庫の鍵として使用されていることがあります。大変稀ですが、ビルのドアの鍵がレバータンブラー錠のまま残っているところもあるでしょう。

このレバータンブラー錠は、今となっては「古典的」とも言える構造で、仕組みさえわかっていれば簡単に解錠できてしまうため、住宅の鍵としては淘汰されていったと言えます。

古い錠前は、構造がシンプルで不正解錠も容易いという反面、複雑な機構ではないからこそ寿命が長い、という特徴があります。このため、長い間メンテナンスされないまま使用され続けている錠前も多く、特に店舗や古いビルのテナントなどでは住宅ではもう使わなくなった錠前が平然と生き延びているものなのです。

レバータンブラー錠やディスクシリンダーは、鍵穴が特徴的なこともあり、出店荒しなどに狙われてしまう可能性もあります。利便性が高く、まだまだ使える錠前かもしれませんが、防犯性能を考えるとやはり心配です。使用年数などによっては、近いうちに交換することを検討したほうが良いでしょう。

ディンプル錠は少人数制の店舗向け

貴金属店や高級ブランド店といった防犯性を最優先する必要があるところには、シリンダー錠のなかでも高性能のディンプル錠がおすすめです。

少ないスタッフや貴金属店などはディンプル錠で

ただ、ディンプル錠の多くはシリンダー本体が高額であるうえ子鍵の複製が難しいので、多数のスペアキーを用意するにはコストと時間がかかります。

特にディンプル錠の中でも、「登録制シリンダー」の場合は、シリンダーそのものがメーカーの特許で守られていることが多く、鍵屋でも合鍵を作成することができません。

しかし、「登録制」ではないタイプであれば、シリンダー交換時に従業員数分を作成して貰うことも可能です。専用キーマシンがあれば子鍵を作成できるGOALのV-18やWESTのリプレイス916、917は子鍵のデザインも独特で使い勝手がよく、人気のシリンダーです。

GOAL V-18とWEST 916

ディンプル錠のなかでも安価なタイプとしてよく交換に使用されるドルマカバ社のカバエースは、カバエース認定店(dormakaba club 店)であればスペアキーの切削が可能です。出張鍵屋の多くが認定店の資格を持っていますので、子鍵の追加についても気軽に問い合わせてみると良いでしょう。

コストがそれなりにかかりますので人数が2桁になってくると検討しづらいかもしれませんが、耐ピッキング性能、耐鍵穴壊し性能から子鍵の不正コピーなど、侵入窃盗に関する重大な懸念事項はケアできるため、コストに見合った防犯性能を得られると言えます。

合鍵が必要ならハイセキュリティシリンダー

数十人規模のスタッフがいるところでは、シリンダーをU9にしてたくさんの子鍵を作成して貰うという選択肢もあります。

合鍵がたくさん必要な場合は刻みキーで

美和ロックのU9シリンダーは、先述した通り大変コストパフォーマンスの良いハイセキュリティシリンダーで、商業施設や工場・倉庫だけでなく、住宅でも広く普及しています。

ロッキングバー方式と回転タンブラーを採用したロータリーディスクシリンダーで、ピッキングに弱かったディスクシリンダーの後継種として耐ピッキング性能などをかなり強化しています。

子鍵は鍵足の両側にギザギザがあり、ディスクシリンダーのものにもよく似ていますが、精巧な作りであるためホームセンターなどでは複製を断られることもあります。

どうしてもホームセンターや街の合鍵屋さんで簡単に子鍵の複製ができるタイプが良い、という場合は防犯性は少し低下しますが、ピンシリンダー錠がおすすめです。

新しいピンシリンダー錠であればアンチピッキングピンが使用されており、ピッキングに強いシリンダーとなっています。ただ、ピンシリンダー錠は構造的に破壊開錠に弱く、鍵穴壊し耐性は他のシリンダー錠に比べて低いと認識する必要があります。

また、合鍵が作りやすいということは、複製も容易だということになります。昔の従業員が合鍵を使って盗みに入る、という事件がないわけではありませんから、そういった点に配慮した運用をする必要があります。

電子錠は防犯性能が高い?

電子錠が推奨されることもありますが、電子錠だからといって必ずしも防犯性が高いとは言えません。

「電子錠は防犯性が高い」と言われる理由のひとつに「子鍵を必要としない」という点が挙げられます。子鍵を管理する手間が軽減され、紛失のリスクも減るうえ、鍵穴がないためピッキングされるおそれがありません。

しかし、既存のサムターンに駆動用モーターを設置するだけの、いわゆるスマートロックはドアの室外側に鍵穴が残りますし、サムターンに取り付ける駆動部品も、粘着テープでの固定であるなど耐久性や堅牢さに疑問符がつく部分があります。

店舗などで導入する場合は、スマートロックではなく、既存のシリンダーを取り外して設置する電子錠が適切でしょう。

これらの電子錠はスマートフォン対応はあまり期待できませんが、長く愛用されているだけあって挙動も安定したものが多く、カードキーや暗証番号で従業員の入退室管理ができ、長い目で見ればコストパフォーマンスが良いと言えるかもしれません。

特にアルバイト店員が多く、定期的に退職者が出る場合はカードキーで運用すると楽でしょう。退職者のカードが返却されなくても、登録を削除するだけで無効化できますし、新しく入った職員の登録も難しくありません。

暗証番号式キーレス錠ならキーレックス

キーレックスは株式会社長沢製作所が製作しているメカニカル構造のテンキー錠です。鍵のかけ忘れがない自動施錠タイプをはじめ、幅広い用途に対応した豊富なラインナップがあり、さまざまな場所で活用できます。

倉庫や施設などにも多いキーレックス
元のシリンダーを残したままの施工も可能です

また、キーレックスは、住宅やファストフード店などの店舗ではもちろん、空港設備や医療機関でも広く活用されている実績があります。

暗証番号の変更も可能ですので、アルバイトや従業員が入れ替わるときには番号を変更して運用すると便利です。

製品には、こじ開け防止機能やサムターン回し対策にも効果を発揮する両面ボタンタイプなど、防犯性能に力を入れたものもあります。

シャッターの鍵交換

室内側から見たシャッター錠

店舗によってはシャッターを併用しているところも多いでしょう。手動シャッターにもシリンダー錠が使われています。

手動シャッターでは、メーカーや型番が判明していれば自力交換も可能です。最近は三和シャッターや文化シヤッターといった大手の交換錠でディンプル錠が採用されているものもあります。

ただ、手動シャッターの錠前にはアクアキー(水圧解錠装置付き)というものがあるため、既存のものがそうでないか、よく確認しておきましょう。

工場や倉庫などに多いのですが、シャッタースラットに「消」のマークがある場合は、水圧解錠装置付きのものと交換する必要があります。

自動ドアの鍵交換

自動ドアの鍵は、先述した通り古いものであればレバータンブラー錠が使用されていますが、それ以外であれば自動ドア用のシリンダー錠です。

レバータンブラー錠やディスクシリンダー錠などの古い錠がついている自動ドアは、鍵交換の際にドアの取り外しが必要で、複数人での作業が必要になることもあります。

鍵交換をしたいときは、無理せず鍵屋に相談して下さい。

店舗やテナントの鍵交換にかかる費用相場

店舗やテナントの鍵交換にかかる費用は、鍵の種類や取り付けの状況などによって大きく変わるので一概には言えません。

相場と言っても、業者によって出張料金や見積もり料金の有無、作業工賃や部品代が異なります。また、時間帯によっては追加料金が必要になることもあります。

適正な料金については、業者に見積もりを依頼しましょう。ここでは、あくまで目安となる費用相場を紹介します。

シリンダー錠交換(刻みキー) ¥16,500~
シリンダー交換(ディンプルキー) ¥27,500~
新規取付(刻みキー) ¥33,000~
新規取付(ディンプルキー) ¥49,500~
電子錠交換 ¥59,000~
合鍵作成 ¥16,500~

シリンダー錠であれば、ディンプル錠のように構造が複雑で防犯性が高いものほど高額になります。

電子錠は初期費用の相場が普通の鍵よりも高めですが、スペアキー作成費用がかからないことや、子鍵紛失による鍵交換が発生しないといった、長期にわたるメリットもあります。

テナント・店舗の鍵交換、電子錠設置のことなら鍵屋へ

建物内の貴重品や人命を守る鍵の重大さを考えれば、やはり専門家への依頼がベストと言えます。

鍵の交換や新規取付、電子錠の導入には、専門の知識と技術を持ったプロが必要でしょう。鍵屋であれば店舗の出入口、自動ドア、シャッターなど、あらゆる鍵に対応することが可能ですし、店舗にあった鍵について相談することも可能です。

店舗や事務所の鍵交換・新規取付を検討しているけど、どんな鍵がいいかわからない、といった場合でも、まずはカギ屋キーホースにご相談ください。スタッフが現地へ駆けつけ、ご希望にあった鍵をご提案させていただくこともできます。

お電話は0120-955-127

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