ドアノブの外し方を種類別に解説!ネジ・穴なしの古い浴室錠やレバーハンドルも
この記事でわかること
- ドアノブを外す際に必要な道具
- 【種類別】ドアノブの外し方
- ドアノブのトラブルの依頼先と費用について
部屋や家の出入りで毎日使用するドアノブですが、長年使用しているうちに不具合が発生してくることがあります。
そこで、ドアノブを自分で交換する際に必ず行う作業が「ドアノブの取り外し」になります。しかし、ドアノブは種類によっても「外し方」や「必要な工具」が違います。
特にはじめてドアノブの取り外しに挑戦する方は、基本的なドアノブの判別方法や取り外しの手順、そして取り換え用のドアハンドルの選び方も知っておいた方がいいでしょう。
そこで今回は、ドアノブの種類ごとに取り外し方やドアノブの選び方を解説していきます。
目次
ドアノブ交換に必要なものは?
ドアノブを外す際にあらかじめ準備しておくものは以下の3点です。
・ドライバー ・キリ ・六角レンチセット |
ドアノブを外すために必要なドライバーは、ネジ山、種類やサイズに応じてプラスドライバーとマイナスドライバーを使い分けますので、どちらも用意しておきましょう。
円筒錠タイプのドアノブであれば、キリが必要になります。
他に、六角レンチもドアノブを外す際によく使用する工具です。六角レンチは、太さの違うものが6〜9本セットにまとめられて売られていることが多いので、それを購入しておくと良いでしょう。
これらの工具は、ホームセンターやダイソーなどで購入することができます。
ドアノブの種類と外し方を解説
ドアノブは種類によって取り外し方がかなり違ってくるほか、使う工具も少し変わってきます。
そのため、まずは自分が取り外そうとしているドアノブがどのタイプなのかを特定する必要があります。
最初に確認すべき箇所はドアの側面です。ドアを開けて、側面から出ている閂を見て下さい。
三角形の金属部品(ラッチボルト)だけが突出している場合は、チューブラ錠か円筒錠です。
三角形の金属部品が突出している下に四角形の部品(デッドボルト)が収まっている場合はインテグラル錠でしょう。
稀に室内扉でも箱錠(ケースロック)が掘り込まれていて、ハンドルとシリンダーがついていることもありますが、室内のドアノブであればだいたいが上記3タイプのいずれかになります。
チューブラ錠か円筒錠かを判別するためには、台座部分にビスがあるかどうか、というのを見て頂くのがベストです。
レバーハンドル錠などですと座カバーがあってビスが見えないというものもありますが、レバーハンドル錠の殆どはチューブラ錠です。
握り玉の場合で、判別がつかないときは握り玉の根本に穴が開いているかどうかも確認すると良いでしょう。
それでは、以下でドアノブの種類ごとの取り外し方を紹介していきます。
チューブラ錠(ネジがあるドアノブ)
チューブラ錠は、閂がラッチボルトだけのドアノブです。ノブを回すとラッチボルトが作動し、施錠用のボタンやツマミを回すと、ドアノブが固定されて動かなくなり「鍵がかかっている」状態になります。
一般的には室内のドアに使用されることが殆どで、丸型の握り玉タイプ以外にレバーハンドルもあります。また、トイレ用や浴室用のように室内側からしか施錠できないタイプもあります。
これらは室外側に中に人がいることを表す「表示窓」がついていることも多く、「トイレ錠」「浴室錠」といった名称のほかに「表示錠」という名称もあります。
チューブラ錠だけが表示錠ではありませんが、チューブラ錠は室内に多く用いられるため、表示錠といえばチューブラ錠である可能性が高い、と言えます。
また、チューブラ錠は基本的に丸座(ノブとドアを繋いでいる円形の台)がドアにビス止めされているのがよくわかるようになっていますし、これら室内側と室外側のネジを緩めるだけで外れるため、比較的簡単にドアノブを外すことができます。
チューブラ錠を外す手順は以下の通りです。
- ドアノブと丸座を固定している上下のネジをドライバーでゆるめて外していきます。そのまま室外側のドアノブを引き抜きます。
- 室内側のドアノブも、ネジを緩めて同じ要領で外していきます。
- ドアノブを取り外したらドア側面のラッチケースのネジを外し、そのままラッチケースを引き出します。
円筒錠(ネジがなく穴があるドアノブ)
円筒錠の施錠の仕組みは基本的にチューブラ錠とほぼ変わらず、鍵をかけた状態ではラッチボルトが出たままの状態でドアノブが固定されます。
ただし、円筒錠の場合はノブの中にシリンダーが収められているため、内部の構造はチューブラ錠とは大きく異なるものになっています。
ドアの中には文字通り円筒状のケース本体があり、そこにラッチがくっついているような形で繋がっています。
室内側からはプッシュボタンを押すことで施錠します。室外からの解錠には子鍵を使うのが一般的です。
現代では昔と比べて見られることは少なくなりましたが、コストパフォーマンスの良い錠前として戦後あらゆるドアに利用されたため古い物件などの浴室のドアノブとして使われていることが多いです。
円筒錠はチューブラ錠と違い、丸座がネジで固定されておらず、一見、取り外し方がよくわからないドアノブのひとつです。そのため取り外し方はチューブラ錠とは大きく異なります。
円筒錠の取り外し方は以下のような手順になります。道具はキリが必要になるので準備してください。(※円筒錠に付属してきたピンが残っている場合はそちらを使って下さい)
- ドアノブの付け根部分にある小さな穴にキリを差し込み、沈む部分を押しながらノブを引き抜きます。
- 丸座の側面に溝があるので、マイナスドライバーを差し込んで手前に持ち上げるようにして丸座を外します。
- 丸座の下に円形の丸座裏金が出てくるので、丸座裏金を本体ケースに固定しているネジを外すと、丸座裏金と室外側のドアノブを外すことができます。
- ドア側面のラッチを固定しているネジを外してラッチを引き抜けば完了です。
丸座部分が固くて外れない場合は、大きめのプライヤーで丸座を掴んで回すことで取り外すことができます。
円筒錠にもレバーハンドルをつけることができますが、チューブラ錠と内部構造が大きく異なるため、円筒錠専用の取替用レバーハンドルが必要になります。
インテグラル錠(ネジも穴もないドアノブ)
インテグラル錠は鍵穴がついている点やキー(子鍵)を使って施錠・解錠ができる点が円筒錠と似ています。構造もノブの中にシリンダーがある点などが共通しており、円筒錠の発展形とも言える鍵付きドアノブです。
室内側はプッシュボタンではなくサムターンになっていることが多く、閂としてラッチボルトだけではなく四角いデッドボルトが付いているのが特徴です。
そのため、チューブ状のケースに全てが収まっているチューブラ錠などとは違って、箱錠(ケースロック)に似たようなサイズの錠ケースが扉の中に掘り込まれています。ドア側面のフロントプレートの長さが6cm以上あるようなものだとインテグラル錠である可能性が高いです。
デッドボルトによる施錠になるため、チューブラ錠や円筒錠に比べて防犯性能が高く、昔からよく玄関や勝手口、倉庫など、室外に面するドアに取り付けられてきました。
インテグラル錠はチューブラ錠のようにビス止めされているわけでもないですし、ノブ取り外し用の穴もないため、最も取り外し方がわかりにくいドアノブだと言えます。
しかしよく見ればわかるように、ノブと丸座が一体型になっているため、特にサビによる固着などがない場合はグリップ付きの軍手などで反時計回りに丸座を回してドアから外すことができます。
丸座が固く緩みにくい際はプライヤーなどを使用すると良いでしょう。
インテグラル錠もレバーハンドルにすることができますが、円筒錠同様、専用の取替用部品を購入する必要があります。
インテグラル錠を外す際の手順は以下の通りです。
- 室内側のドアノブの丸座近くを掴み、反時計方向に回して外していきます。時折、丸座の側面に穴があり、そこに六角レンチを入れて反時計回りに回すと、丸座が外れるというタイプもありまりす(HINAKA・AGEのインテグラル錠など)。
- ノブが取れたらプラスドライバーで、丸座裏金を固定している全てのネジを緩めて、丸座裏金を取り外しましょう。
- 室外側のドアノブを引き抜き、室内側のノブも取り外します。
- ドアの側面のフロント部分から錠ケースを固定している上下のネジを緩めていきます。錠ケースを引き出せたら完了です。
レバーハンドル錠(ネジなし含む)
レバーハンドル錠はその名の通り、把手(取手)がレバーになっているタイプのことで、見分けが最も容易なドアノブです。
空錠(施錠機能のない錠前)から鍵付きのものまで様々な種類があり、デザインも豊富で最近では玄関扉でも多く見られるようになってきました。
室内用のレバーハンドル錠は殆どがチューブラ錠で、ドアの中にはチューブ状の錠ケースが掘り込まれています。また、レバーハンドル錠も握り玉タイプのドアノブ同様、ハンドル部分と台座部分が別々になっていますが取り付けビスが表に出ていないタイプがたくさんあります。
ネジがないレバーハンドルの外し方
この類のレバーハンドル錠の場合は台座「カバー」があり、台座取り付けネジはカバーを取り外さないと見えないようになっています。
このタイプのレバーハンドル錠はマイナスドライバーを台座カバーの切り欠き部分に差し込んで、テコの原理を利用してカバーを取り外し、ネジを露出させてから緩めていく必要があります。
また、レバーハンドル錠のなかには握り玉タイプの円筒錠やインテグラル錠をレバーハンドルにしたものもありますが、内部構造は変わりないため、ハンドルに鍵穴がついていたりします。
レバーハンドルタイプになると、取り付けビスで固定するインテグラル錠もありますので、ネジも穴もない握り玉タイプよりは外し方がわかりやすくなっていると言えますが、メーカーによって仕様が細かく違う可能性もありますので、取付説明書をよく読むようにして下さい。
▼関連ページレバーハンドル錠の取り外し手順は以下の通りです。
- ドアノブの外側台座にあるネジをドライバーで緩め、外側のドアノブを外します。
- 内側台座を固定しているネジも緩め、内側のドアノブを引き抜きます。
- ドア側面にあるフロントプレートのネジを外してラッチを引き抜いたら作業完了です。
ドアノブを外す際に気をつけること
ドアノブは同じ種類であっても、メーカーや型番が異なると外し方まで異なることがあるので注意が必要です。取扱説明書やメーカーの紹介を見て方法が記載されていたら従いましょう。
昨今では動画で紹介してくれているところもあるので、説明書ではいまいちわからないという方は探してみると良いでしょう。
作業時ですが、ドアノブを外す際はドアを開放した状態で行うのが基本です。また、ドアノブは凹凸や影になりやすい部分もあるため、明るい環境で行うことで作業がスムーズに進められます。
また、細かいネジなどの部品もあるので紛失しないように気をつけましょう。
もしも部品を失くすと、同じものを探してくる必要が発生するので、ネジなどの外した部品はトレイなどの容器や袋に一時的に入れておくと安心です。
古いネジは経年劣化や錆で固着していることもあります。この場合、無理にドライバーで回すとネジ山を潰してしまい、ネジを外すことがさらに困難になってしまいます。
ネジが固着している際は、錆取り剤や潤滑スプレーなどを使用しながら丁寧に外していきましょう。
また、説明書などにも明記されていると思いますが電動ドライバーは使用せず、ネジが完全にナメてしまった場合は太いゴムバンドや、ねじ滑り止め液、ネジ用ペンチなどを使用するとなんとかなるかもしれません。
▼関連ページドアノブを購入する際に気をつけること
ドアノブ交換で新しいドアノブを選ぶ際は、メーカーと型番、サイズなどに気をつける必要があります。
ドアノブの種類だけで商品を購入してしまうと、交換時に失敗してしまうこともあるので注意しましょう。
ドアノブの種類が同じでも、メーカーや型番によってドアノブの大きさや穴のサイズは異なります。現在使っているドアノブと同じ型番の商品を購入することが一番確実でしょう。
メーカー・型番
メーカーと型番は、ドア側面にあるフロントプレート部分の刻印を見ると分かります。
玄関鍵で有名な錠メーカーはドアノブなどでもよく知られていますが、室内用になると多種多様なブランドやメーカーがあり、必ずしもメーカー名が刻印されているとは限りません。
「MIWA」「GIKEN」「SHOWA」「GOAL」「AGENT」などがメーカー名で、「LA」「RA」「PX」などが型番です。
【国内でよく見られるドアノブブランドとメーカー】
ブランド名 | メーカー |
GIKEN | 川口技研 |
COW | ヒナカ(日中製作所) |
SHOWA | ミネベアショウワ(ユーシン・ショウワ) |
HORI | 堀商店 |
NAGASAWA・CORONA・KODAI | 長沢製作所 |
ALPHA | アルファ |
AGE | ハイロジック(日垣本社) ヒナカ(日中製作所) |
BEST | ベスト |
AGENT | 大黒製作所 |
MIWA | 美和ロック |
GOAL | ゴール |
WEST | ウエスト(西製作所) |
GATE | マツ六 |
中にはメーカー名や型番の刻印が無い場合もあります。
その場合は以下で紹介する①〜⑤のサイズをメモし、ホームセンターに持っていくことで適合する錠ケースやラッチを調べることができます。
サイズ
ドアノブを交換する際には、ドアノブのサイズも確認する必要があります。
現在のドアノブとサイズが合わない製品を購入すると、新たに穴をあけるなどの手順が発生してしまいますし、最悪全く使用することができませんのでご注意ください。
※ドアノブなど錠前商品は返品ができません
ドアノブを交換する際は以下のサイズを測る必要があります。
- ドアの厚み
- フロントプレートの幅と高
- ビスピッチ
- バックセット
- 丸座部分のサイズ(直径)
ドアノブの種類、状態によってはプロに依頼する
ドアノブを取り外す作業や交換自体は、さほど難しい作業ではありません。しかし、ドアノブの種類や状況によっては素人が手を出さない方がいい場合もあります。
例えば、電子錠などは壁やドアに加工を施す場合や配線工事が必要なこともあり、通常のドアノブより大規模な作業が必要です。
▼関連ページ ▼関連ページまた、チューブラ錠や円筒錠などをインテグラル錠やケースロック(箱錠)といったしっかりとした鍵に交換する際も、ドアに掘り込まれた錠ケースのサイズが違うため、追加加工が必要です。
ドアへの切り欠き加工に慣れていない限り、プロに任せた方が良いでしょう。
経年劣化や錆で劣化したドアノブは部品が固着していることが多く、スムーズな取り外しができず一苦労する場合もあります。力任せで取り外そうとするとドアを破損してしまうこともあるので、限界を感じたらプロに依頼しましょう。
ドアノブ交換を依頼した際の費用
業者に依頼した場合は、目安としてドアノブの修理は¥8,800〜、ドアノブ交換(チューブラ錠、インテグラル錠、円筒錠)の場合は¥11,000~+部品代の費用がかかります。
これに追加して、地域や時間帯によっては出張手数料や夜間・早朝手数料などが発生する場合もあります。
作業費や各手数料などは業者によって価格・内容が異なるので事前に確認をし、作業前に見積もりを取ることをおすすめします。
ドアノブの取り外しでお困りなら鍵屋に相談
ドアノブの種類にはさまざまな種類があり、それぞれ取り外し方や必要工具が異なります。しかし、種類ごとの特徴や取り外し方をしっかり確認しておけば、自分で作業を行うことも可能です。
ただ、劣化の激しいドアノブは取り外す際に電動工具が必要になることもあり、よくわからないまま作業をするとドアや部品を損傷させてしまうこともあります。
自力での作業が難しいと感じた場合は、プロである鍵屋に依頼しましょう。